低濃度アトロピンについて
低濃度アトロピン点眼(リジュセアミニ、マイオピン)は、近視の進行を抑える効果のある目薬です。
低濃度アトロピン点眼は、近視の進行抑制効果が約60%程度あると報告され、副作用もほとんどないことが確認されています。
ただし、近視の進行が完全に止まるわけではありません。個人差もあります。


低濃度アトロピン点眼薬の特徴
- 副作用がほとんどない近視進行抑制薬です。
- 眼の遠近調節機能(手元をみる作業)に殆ど影響をあたえません。
- 毎日必ず就寝前に1滴点眼します。
- マイオピン点眼の場合には、両眼用に1ヵ月の使い切りです。
- 1か月経過時に点眼瓶にまだ残っていることが多いのですが、感染症の危険から、必ず、開封してから1ヵ月経過したら次のボトルを使い始めていただきます。
- リジュセアミニは1回の点眼(両眼)の使い切りタイプの点眼薬です。毎日1本使用となります。1箱に30本入っています。
対象となる方
- 医師の指示に従って通院・定期検査が可能な方。
- 最低でも2年間以上の継続を推奨しています。基本的に4ヶ月毎の定期通院となります。
- 医師によって適応と判断された方
- 6歳以上の小児
低濃度アトロピンの処方、検査、診察について
処方、検査、診察すべてにおいて自由診療で行うことになります。
- 低濃度アトロピンによるアレルギーや、結膜炎などが生じた場合には、自由診療扱いとなります。
- 「近視」の病名のつく治療に関しては、低濃度アトロピン点眼治療中の期間は自費診療となります。他の疾患である「アレルギー性結膜炎(当点眼薬が原因ではないもの)や「ものもらい」などについては、保険診療にて診察を行います。
- 学校からの視力検査結果で受診した方は、「近視」病名ですので、日本眼科医会の指導により、近視抑制治療をしている方は自由診療扱い(自費払い)となってしまいます。保護者様の経済的負担を考え、定期的に診察にいらっしゃっている方はそれまでの検査結果を踏まえて学校への返信をお渡しします。詳しくは外来窓口にてご案内します。安心して受診してください。
治療の費用
低濃度アトロピン(マイオピン)点眼
治療費用(検査・診察)
- 近視検査基本料
- ¥3,300
- 薬剤費用(1本あたり)0.01%アトロピン
- ¥3,850
- 薬剤費用(1本あたり)0.025%アトロピン
- ¥4,070
在庫品限り
低濃度アトロピン(リジュセアミニ)点眼
治療費用(検査・診察・処方費用)
- 近視検査基本料
- ¥3,300
- 薬剤費用(1箱30本) 1か月分
- ¥4,380
- 点眼処方料(処方1回につき)
- ¥1,100
よくある質問
- 点眼をすると近視が治りますか。
- 残念ながら近視を治すことはできません。あくまで近視が進行するの抑制するための治療です。
- いつ点眼をすればいいですか。
- 夜、寝る前に1回1滴 両目に点眼してください。
- 点眼を忘れてしまった場合はどうすればいいですか。
- 点眼を忘れてしまった場合は、次の日の就前に点眼をしてください。
- マイオピン点眼を使用しています。どのくらいの期間使用できますか。
- マイオピン点眼の場合は、1本の容量は5mLです。他の点眼剤同様、開封後は1か月で破棄してください。
- マイオピン点眼を使用しています。1ヵ月経過しましたが、点眼瓶の中に点眼液がまだ残っています。使い続けてもいいですか。
- 点眼は開栓したら必ず1か月で破棄してください。
1日1回なので、1か月経過時にはまだ残っていると思います。防腐剤も入っておりますが、睫毛などに触れて雑菌は入りやすいです。一度、雑菌が入ると、最初は少量でも1か月経過時には多量に増えます。必ず、1か月で破棄するようにしてください。
ご兄弟での使いまわしも、雑菌がとても入りやすくなります。使いまわしも絶対に行わないようにしてください。 - リジュセアミニ点眼を使用しています。使用期限はどのくらいですか。
- アルミ袋を開封したあとは、3ヶ月が使用期限です。休薬していた場合には使用期限に気を付けてください。
- リジュセアミニ点眼を使用しています。保存方法を教えてください。
- アルミ袋を開封したあとは、添付の遮光用投薬袋に入れて室温(1~30℃)で保存してください。冷蔵庫保存でも構いません。
- 何歳から何歳までが治療対象になりますか。
- 海外の点眼効果の判定結果は対象が4~12歳(2年間使用)です。しかし、近視は12歳を超えても進行していきますので、近視を抑制する可能性はあります。
- 何歳まで治療を続ける必要がありますか。
- まずは、2年間継続の上で、効果をみて治療を継続するかどうか判断するのをお勧めします。近視の進行の安定する10代後半まで継続することが望ましいとされています。もし効果がみられない場合には、他の近視抑制の治療をお勧めすることがあります。
- 効果がないこともありますか。
- 0.01%アトロピン点眼は、9%の方に無効だったという海外の報告があります。点眼後、6カ月を経過した時点で近視が進み続ける場合には、0.025%への変更や、他の近視抑制の治療を考えます。
- 気を付けることはありますか。
- お子さんが「まぶしさ」や、「いつもより近くがみえづらい」などを訴えるようでしたら、医師にお伝えください。点眼剤の濃度や点眼する時間などの調整が必要になります。
- 副作用はありますか。
- 主な副作用は「まぶしさ」です。瞳孔が広がるために起きるものですが、就寝前に点眼すれば朝には戻ります。「まぶしさ」を感じるようでしたら点眼剤の濃度や、点眼時間の調整をします。中止をすれば元に戻ります。どうしても見えづらい場合には続けられない場合もありますが、ご相談ください。
- 急にやめてしまって支障はないですか。
- 中止するときには、中止後に近視が進行しないかどうかの経過観察が必要です。しかし、点眼をしていなかった場合よりも余計に近視が進んでしまう、ということはないようです。それでも、中止後には近視が進まないかどうかの経過観察が必要と考えています。中止を考える場合にはご相談ください。
- アトロピンはどのような作用機序で近視進行を抑制するのでしょうか。
- 詳しい作用機序はまだ解明されておりません。ムスカリン受容体に拮抗作用(抗コリン作用)を示すことで眼軸の伸長を抑制すると考えられています。
低濃度アトロピン点眼治療についてご興味のある方は、医師またはスタッフにご相談ください。